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2016年1月24日の日記
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次タブレットと88。
[小説]
ベニューの調子が徐々に悪くなって来ました。
おそらくもう長くないのではと思いますが、DELLでは後継機を出していないので、同様の物をDELLで買うことは出来ません。
そうなると別メーカーのを買うしかないのですが。
迷うのは、それなりに性能がよく長く使えるのをそれなりに高い値段で買うか、執筆と簡単なブラウジングが出来るという目的が達成出来る程度の、アホみたいに安い1万円程度のタブレットを買うか、なんですよ。
問題は書けなくなるとその日一日書けないのが困るんですが。
88は、そろそろ書き終わります。
ただ、ちょっと論点がずれている部分があるので、書き直しに時間がかかりそうですね。
これを書き終えたら再び87に戻った後、89を書きます。
「やあ」
代わりにそこにいたのは、一人の男性だった。
痩せた身体に、黒を基調とした衣服を着ている。
「っ!」
当然、魔姫の城に普通の人間がいるわけがない。
自然警戒して、武器を構える。
「落ち着いてくれ。僕は君たちと戦いたいわけじゃない」
その男性は、エメフィーたちの武器に囲まれながらも平然と落ちついて両手を上げる。
落ち着いた所作、穏やかな物腰。
ふと、その面影はどこかで見たことがある、と思うエメフィー。
「あなたは、誰だ……?」
剣を下ろさないまま、エメフィーが尋ねる。
「ふむ……」
ちらり、と男性が全員を見回す。
「君がエメフィーかな? そう言えば僕に似ているな」
「……なん……っ!」
そうだ、この面影、立ち振る舞い。
これは、父上だ。
エメフィーの父である王配に、あの優しい穏やかな父に似ているのだ。
そして、髪を伸ばせば、エメフィーにも似ているかもしれない。
「まさか、あなたは……!」
「そう、僕は君の兄、ジュエール王国の第一王子、ルンジールさ」
彼はエメフィーの兄を名乗った。
確かにエメフィーには魔姫にさらわれた兄がいる。
それは、女王からも聞いている。
年齢もエメフィーより一年強上のはずで、目の前のルンジールと重なる。
「……本当に、王子殿下なのですか? 魔姫に捕らわれて育てられたなど、考えにくいのですが……」
マエラが、多少遠慮がちに聞く。
「そういう君だって、殺されずに帰されていたんだろ?」
「それは……そうですが……」
そう言われると思ったので、言うかどうか迷ったが、だが、彼女は王宮の監視に利用されていた。
となると、彼が生き残っているのには、何らかの利用価値があったはずだ。
魔姫がただ遊ばせるためだけに、彼を生かせておくわけがない。
「僕は、キスの能力研究のために実験させられたのさ」
「キスの研究……?」
「いや、大変だったよ。十六を過ぎたら魔物の女の子ばかり、延々キスさせられるんだ。僕に心を奪われた瞬間、僕の目の前でみんな殺されるんだ。おかしくなりそうだったよ」
ルンジールは困ったように語るが、そこには何の悲壮感もなかった。
彼がエメフィーより年上だから、一年以上。
魔姫の研究の最終成果を彼で試したのだろう。
「魔姫は君たちが思っているほど残虐でもないし、むしろ人の心を持っていると思う。何しろ、生まれてすぐの僕に食事だけではなくこうして教育して躾けて立派にしてくれたんだからね」
確かにそうだ。
彼はまだ生まれてすぐにさらわれたのだから、ずっと檻に入れておいたら、物も話せない獣になっていただろう。
「ですが、魔姫は復讐をすると言っています……それは、国々を滅ぼして、再び支配することでしょう」
「違うと思うな。あの子は、父を殺されて一人になった可哀想な子なんだ。寂しくて他にやることもないから、復讐をしよう、なんて思っただけなんだ。そもそも、復讐なんて、とても人間的な思考だと思わないか?」
「………………」
それが、嘘か本当か確かめるすべはない。
だが、信用するにはあまりにも情報が足りない。
「それであなたはどうしてここに?」
「うん、君の説得を魔姫に頼まれたんだ。ここは黙って帰ってくれないか?」
「と、言われましても、僕たちもここまで来て、そう簡単に帰れるわけではありませんし……」
兄、と思われる人物に言われても、エメフィーの行軍にはジュエール王国の威信や期待がかかっているのだ。
「だろうね、だけど、魔姫ももう少しで人間を理解できると思うんだ。僕をこうして生かしたり、君の存在に気づいても、何もしなかったり。彼女は人を理解しようとしている。そのうち、復讐なんてしないと言ってくれると思ってる」
「……ちょっとだけ、時間をくれますか?」
「ああ、じっくり考えて欲しい」
これほどまで重要な判断を、エメフィー一人では出来ないと思った。
ここはこれまでの全ての決定に関与してきたマエラの考えも聞きたいと考える。
だが、この件に関してはマエラも慎重だ。
もし、彼の言っていることが本当で、もう少しで人を許そうとしているのなら、今攻めるのは逆効果だ。
怒らせて、討伐に失敗すれば、世界が再び魔族に制圧されることだろう。
これは騎士団だけの、そして、ジュエール王国だけの問題ではないのだ。
だが、それらも全て、嘘だったとしたら?
それで時間を稼いで、本当に研究を完成して、完全な抗体を作ってしまったらどうなる?
エメフィーのフットワークとマエラの知識、これまであらゆることを決定して来た二人でさえ、今回の決断には躊躇せざるを得なかった。
「君は、エルフの子なんだね?」
「あ……はっ! エメフィー殿下にはよくしていただいております」
エメフィーとマエラが悩んでいる間、退屈だったのか、ルンジールがサイに声をかける。
サイは敵かも知れないルンジールにどう対応していいか迷ったが、一応は王子であるため膝を付き、答える。
「そんなにかしこまらなくてもいいよ。僕は王子じゃない、ただの魔姫の使いに過ぎないよ」
「ですが……」
「本当、構わないから」
「は、では──」
サイが、立ち上がる、その瞬間だった。
「っ!」
ルンジールは、サイのその唇を、自らの唇で奪った。
呆然とするサイ。
「んぐっ!」
ルンジールはサイを一旦離し、唖然としていたシェラにも近づき、キスをする。
「アメラン、離れて!」
エメフィーの声に、アメランが逃げる。
「二人、か。まあまあかな」
ルンジールは先ほどと違い、不遜な態度で笑う。
「お前! 僕の兄上じゃないな!」
「いや、僕は君の兄さ。この、王族にしかない能力を持っているのが証拠だ。ただ、骨の髄まで魔姫様の栄光を願うだけだがね」
「くっ……!」
油断した。
これは明らかな油断だった。
ここは魔姫城で、出て来るものは全て敵なのだ。
「君の最強の戦士は、今日から君の敵になる。さて、君と僕、どちらが強いかな?」
余裕のある、ルンジールの態度。
おそらく、高速戦において、この二人を抑えておけば勝てると踏んでいるのだろう。
アメランの呪文は時間がかかる。
高速戦はエメフィーも可能だが、シェラとサイ、最強の二人相手は不可能だ。
シェラと戦っている時、サイに矢を射かけられたら躱せない。
「ぐっ……アァァァァァァァッ!」
サイが叫ぶ。
おそらく自分の中の心と戦っているのだろう。
「ふふふ、抗っても無駄なのにね。可愛い子だ」
ルンジールはまだかかり切っていないサイから少し離れる。
かかり切るまでの間に、襲いかかって来ることを警戒したのだ。
危険は冒さない、ただかかり切るのを待っていればいい。
だが、サイはその時、信じられない行動を取った。
「アァァァァァァァァァァァァッ!」
「な……っ!」
「サイっ!?」
矢筒から矢を一本取り出し、その矢じりを、自らの膝に突き刺した。
矢は膝を貫通する。
おそらく激痛がサイを襲っていることだろう。
「まさか……自分を自分で戦闘不能にするために……?」
マエラの驚愕の声。
それは、自己犠牲、などというレベルの話ではない。
能力がかかって、自分が完全にエメフィーの敵になって戦う前に、自らを戦闘不能にしたのだ。
敵になったサイは強敵なんてものではない。
それを自分でもよく分かっているサイが、自らを壊したのだ。
サイは、しばらく絶叫を上げると、そのまま痛みで気を失った。
「ふふっ、忠臣で羨ましいよ。でも、これで君は二人の忠臣を失い、僕は一人の忠臣を得た。君、名前は?」
「シェラですぅ……ルンジさまぁ。大好きですぅ」
ルンジールに甘えるように抱き着く、シェラ。
「シェラ! そいつは敵だ!」
「ルンジさまぁ……」
「ふふっ、もう君の声は届かないよ」
ルンジールはシェラの髪を撫でながら、笑う。
「シェラを返せぇぇぇぇ! ルンジール!」
シェラが奪われた。
サイも失った。
これまで共に戦ってくれ、そして信頼しあっていた、頼もしき、そして愛すべき二人が、この一瞬にして奪われた。
エメフィーは穏やかだとは言い難い性格だが、それでもあまり怒ることはない、明るい性格だった。
だから、ここまで怒りが湧いてきたのは初めてだ。
気が付いたら、剣を抜いてルンジールへ走っていた。
最終更新 2016/01/24 13:22:33
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