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2016年6月5日の日記
ツイート
サーバとラノベの今後と91。
[小説]
えー、色々ありました。
6月1日から、d-maki.jpサーバはWindowsサーバなのですが、2003のサポート停止に伴い、入れ替えがありました。
で、入れ替えが雑だったので、色々面倒なことになってます。
とりあえず今はサイトはそこまで重要でもないので、使えるところだけ再生しています。
ツイッターの部分の更新が出来なくなっています。
で、更にtanin.jpの方もPHPのバージョン更新が上がりました。
ええ、それはいいんですが、なぜかサーバにアップしたファイルが古くなってました。
ちょっと意味が分かりませんが。
まあ、見られる部分は見られるようにしたので、後はまたそのうちします。
さて、最近のライトノベル業界の傾向について、思うことを語ろうと思います。
これはあくまで一業界外の者の分析ではありますが。
えー、最近コンテンツ全般で何が起きているかと言いますと、消費しない利用者の割合が拡大しています。
例えばゲーム。
昔はゲーム機を買う、もしくはパソコンを使用して、ゲームを買ってプレイしていました。
その後ネットゲームというのが出来て、月いくら、という方式でのプレイになりました。
で、今はそんなゲームはほぼ廃れてしまっています。
主流はほぼ無料でプレイ出来て、アドバンスド部分だけが課金だったり、ランダムで手に入るガチャが課金だったりで利益を支えています。
アニメにしても、昔はテレビCM料から製作費が賄われていましたが、今は深夜アニメになり、ファンドで金を集め、放送してDVD・BDや周辺の利権で利益を得て、分配する仕組みになっています。
つまり、アニメを見た一部の人間が購入したDVD等から利益を得ています。
この方法であるため、アニメはネットで見られることが多いのです、アニメ放送自体がアニメ購入の宣材となっているわけです。
で、ここ数年になってくるとそれがさらに顕著になってきているわけです。
若者はコンテンツが無料で手に入るのが当たり前だと思っています。
アニメ見て、DVDを買わないけれど「二期作ってください!」と平気な顔で言いますし、課金していないのに「全部プレイできないのはおかしい」と評価に投稿します。
別にこれは害悪ということでもなく、昔からそう言う人は一定数いたわけです。
私の元部下で五歳くらい年上の人でしたけど、無課金でプレイしてて、課金ユーザの優遇を「殴ってやりたいですよ!」とか言ってましたし。
でも、それが最近になってかなり増大して、金を払う人だけでは賄えなくなってきたわけです。
少子高齢化みたいな話ですが。
それでどうしたか。
少数の課金ユーザに更に高額の金額を要求し、そして更なるアドバンスドを用意したわけです。
それこそ、テーマパークに一般より30分早く入場できるだけで高い金を払ってくれる人もいますよね。
そういう差別化を顕著化させ、金を払ってくれる人に優越感を与えたわけです。
ある意味、無料ユーザを切り捨てて、課金ユーザを引き立たせるわけですが。
この無料化の波はもちろんライトノベルというコンテンツにも多大な影響を与えています。
ネット上に40万近い作品が閲覧できるサイトがあって、そこは素人小説が大半ですが、一部プロレベル、もしくはプロも書いている小説があったりします。
それが無料なわけです。
それに一番影響を受けるのがライトノベルなわけです。
若者はそのサイトを閲覧すれば無限に小説があるわけですから、わざわざ金を出して買おうなどとは思わない。
この巨大な無料コンテンツに対して、商業出版社は様々な方法で対抗しようとしました。
いい小説を引き抜いてきたり、そのサイトで流行っている傾向と同じ小説を出したり。
が、無料で見れるものがそこにありますので、効果はゼロではないですが、なかなか薄かったりします。
で、最終どうしようとしているのか、と言いますと、他と同じ、課金者には更に高額を要求し、無課金者を切り捨てる方策です。
元々、文庫というものは、ハードカバーや新書で十分に稼いだコンテンツを廉価にして更に一儲けするためのソフトですが、ライトノベルは購読対象が中高生であるため、最初からこれらで作られていました。
ですが、最近「○○ノベル(ス)」というレーベルが増えてますよね、あれは新書タイプで販売するレーベルです。
価格は文庫の倍近くなっています。
つまり、金払わない中高生は切り捨てて、金を払ってくれる人からは高額を回収するシステムに切り替えているところです。
文庫で1万部売るよりも新書で5000部売った方が効率がいいわけですし。
ただし、これは諸刃の剣でもあります。
切り捨てた中高生は数年で大学生になり、すぐに社会人になります。
その時にこのレーベルを買いたいと思わなければなりません。
切り捨てられた相手が最大顧客になるのに数年です。
この数年というのは、大体これまではアニメ化コンテンツに利用されてきました。
高校生の時に一巻を買った人が大学生になる頃にアニメ化してDVDを買わせるシステムですが。
で、ここでうまく取り込むためには、今度は逆に無料コンテンツサイトの動向が気になるわけです。
そこから流れ込んでくるのを待っているわけですから。
おそらく今後はこちらが主軸になり、文庫は縮小していくのではと思われます。
ただ、文庫をなくすことはないと思います。
今後の動向によっては将来再び文庫が隆盛を極める時代が来るかもしれませんし。
それに、読者がこのノベルを受け入れるかどうかも現在のところ全く分かりませんし。
ですから、今後の動向次第ではターゲットを変更して書く必要があるかもしれませんね。
さて、91を書き始めました。
これも異世界転生ものです。
どちらかというとパロディでメタです。
商業的に異世界転生そのものより、異世界転生のパロの方が読者と編集の方に受ける気がしましたので。
トラ転した。
詳しいことは、省略しよう。
似たような話は山ほどあるので、そちらを参照してもらいたい。
要するにトラックに轢かれて、女神によって転生するとだけ分かればいいし、俺もそれ以上の事は知らない。
なんだか今は何にもない部屋でずーっと待たされてる。
一時間くらいずーっと待っているんだが、誰も来ない。
多分俺は、ここで転生することを説明されて、チートな武器をもらって魔王が存在する異世界に行くんだと思う。
その世界の女神が、他の世界の神々に頼んで見込みのある若い死者を連れて来てもらって転生させるシステムなんだろう。
そういう話は何度も言うがそこらにあるから俺もすでに勉強済みだ。
前世に未練がないと言えば嘘になるが、これは運命だったんだ。
新しい世界で頑張っていこう。
…………遅いな、全然誰も来ないぞ?
俺が死んだの誰も気づいてないのか? 神同士の伝達ミスとか?
なんだか不安になってきた、俺、本当に大丈夫なのか?
さらに一時間くらい? なんだか時間の概念がないから何とも言えないけど、結構待ってる気がするんだけど。
ここにいていいのかな?
「お待たせしましたー」
またしばらく待って、一人の綺麗な女性がどこからともなく現れた。
いきなりいたので、おそらくどこかからふっと出て来たんだと思うけど、もっとこう神聖で荘厳な感じで現れるのかと思ったけど、普通に表れた。
しかもなんか、ファミレスで呼び出しボタン押して来た感じの口調だ。
「あ、えーっと……」
「私はツァイフェリアという世界の管理を担当しております、あなた方が神と呼んでいる存在のオボ・リダーと申します。あなたは私の世界に転生していただいて、一年以内に魔王を倒していただきます。そうでなければ消えます。とりあえず量産型精霊剣の聖剣ラメルースンをあげますので何とかしてくださいね? それでは──」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?」
俺は慌てて俺を世界に放り込む気になっていた女神リダーさんを止める。
「何ですか? 私も忙しいんですが!」
そんなにイラッとした表情で言われると「あ、すみません」って言ってしまいそうになるけど、俺の人生がかかっているので話を続ける。
「え? それだけですか? 他になんかこう、意思の確認とか俺の意識向上するようなこと言ったりとかないんですか?」
「ないです。それでは──」
「ちょっと待ってくださいって!」
俺は更に止める。
あ、今この女神小さく舌打ちしやがった!
「何ですか? あんまりわがままを言うと、聖剣取り上げますよ?」
リダーさんはファミレスの困った客に毅然と「警察呼びますよ?」と言うような表情で俺に言う。
「すみません、でも、さっき軽く『一年以内に魔王を倒さないと消えます』って言いませんでしたか?」
「言いましたよ? そうでもしないと誰も魔王を倒しませんし」
「いや、一年って無理じゃないですか? せっかく転生するのに、一年だけで後は消すって、神として無責任じゃないですか?」
さすがにイライラしてきた俺は、相手が女神っぽくないこともあり、店員にクレームを入れるくらいの勢いで文句を言った。
いやだって、さすがにこれは無責任だろ?
文句を言ってもいいレベルだろ?
「……無責任、ですって?」
女神リダーさんは、少し声のトーンを落として俺に聞き返した。
「そうでしょう、こっちは命を懸けて、魔王退治に向かおうって言うんですよ? それをたった一年だけしかいられないって、ただの便利使いじゃないですか! 人の命を何だと思ってるんですか!」
ちょっとやばいと思ったけど、俺はひるまず答える。
「それはこっちのセリフですよ! 人の命を何だと思ってるんですか!」
ここに来た時にはニコニコしていたリダーさんは、徐々に顔色が曇ってきたと思っていると、今は怒りに満ちた表情で俺を潤んだ目で睨んでいた。
「毎日、毎日、毎日、毎日! 何人も何人も送り込んできて! 人の命を何だと思ってるんですか!」
「いや、そんな事俺に言われても……」
「そりゃ、私は確かに魔王がいるから退治できる若い魂をくださいと依頼しました! ですけど毎日五人も十人も送って来いとは言ってません! 一体何のつもりなんですか!」
「いや……その、ごめんなさい……」
多分、俺は関係ないけど、ここまで勢いよく言われると謝るしかなかった。
「とにかく、そんなに送られてはうちの子たち(ナチュラル)のための資源がなくなりますから受け入れられません! だから一年という区切りをつけました! これはかなりの温情ですよ?」
「あ、どうもありがとうございます」
そう言われると感謝せざるを得ないけど……ちょっと考えてみよう。
つまりあれだ、俺たちの世界の担当している神様にこの女神リダーさんは「魔王が生まれたから倒せるような魂を送ってくれませんか?」と頼んだわけだ。
それでこっちの神様は、それは大変だと、死んだ若者を毎日毎日数多く送り続けてると。
そんなに大量に送られると、元からの住民のコミュニティとか生きるための資源が滅茶苦茶になるから困ってる、と。
「……すみません、私も言い過ぎました。今日だけであなたで十二人目だったので。さすがに本来の管理の時間がどんどん削られててイライラしていました……」
なんか、女神も大変そうだ。
「とりあえず、私もいろいろ譲歩しまして、別に魔王を倒さなくてもいいです。一年以内に、うちの子たち(ナチュラル)にいろいろ貢献してくれれば、二年目以降もいてもいいです。これ以上はバランスが崩れるから、本当、無理なんです……」
「あー、そういう事情なら仕方がないっすね、すみません、時間取らせてしまって」
「いえ、こちらこそせっかく来てもらったのにすみません。ぜひ頑張ってくださいね?」
「分りました。聖剣ももらったし、頑張ってみます」
「はい、それでは送りますよ? さようなら、また会えるといいですね?」
気苦労の絶えない女神リダーさんの笑顔が、最後の印象に残った。
最終更新 2016/06/05 22:09:09
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