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2016年7月24日の日記
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最近のラノベ業界についての続きと91。
[小説]
さて、五月にサーバ入れ替えがあってから、いまだに面倒くさくてそのまま放置しているので、d-maki.jpサーバはアクセスログが取れていません。
ですから気づかなかったのですが、bit.lyを見るといつもの十倍くらい見られていました。
いえ、適当に自分本位で書いた上に、ガストに行く時間が近かったので、後半急いで書いたので結構飛んでますので、もう少し書き直しましょう。
先週も言いましたが、これは評論家でも編集者でも作家でもない、作家志望の一個人一ラノベファンが、ライトノベルを半年分析して感じたことであり、正しいかどうかの判断は私にはできません。
ライトノベルと言うものは、誤解を恐れず物凄く乱暴に言えば、キャラクター、特にヒロインを好きになってもらえれば勝ち、というものです。
だから、キャラクター小説とも呼ばれますね。
ですが、これはあまり重視されていない気がします。
何故なら、「初めて購入するモチベーション」にはなりえないからです。
知らない小説を読むかどうかを考える時に、「キャラが可愛い気がしたから」を判断材料にする人は希少だと思います、この辺漫画とは違いますね。
つまり、最初にはストーリーとか設定とかで読み始めて、読者を捕らえるのはキャラの魅力、ということです。
で、このとっかかりの部分ですが、やっぱりストーリーとか設定になるのですが。
これに関しては先週言った通り、読者の求めているのは、二次創作なのですよ。
面白と思ったライトノベルの続きが見たいけどまだ出ていない、だから代替のラノベを求めるわけです。
もちろん、巷で絶賛されている、アニメを見て、などのとっかかりもありますが、それは「最近無名が有名になることが異様に難しい」という前提とは異なるので省略します。
で、これが学園物流行の時期はそもそも前提に学園物、という細かいレギュレーションがあったわけです。
これは現実に存在するため、みんな調査して設定というか前提を確定してその中で細かいジャンルに分かれるわけです。
学園物全盛期に「この小説は学園ラブコメです」とは言わなかったはず。
「謎部活系」って言うだけで色々見えてきた時代です。
それプラスあらすじを読み、パラパラと文体を見て、買うかどうかを決められた時代です。
それは大前提として、学園という決められたレギュレーションがあったから成り立ったわけです。
これがファンタジーになるとまた別です。
ファンタジーというジャンルは書き手として設定が自由に決められるため、レギュレーションが少ないわけです。
これは書き手としては楽しいので、学園ものの頃よりも書き手は倍増しているはずです。
が、自由であればあるほど、書き手のエゴが強くもなるわけです。
奇抜であればあるほど、読者は引いていきます。
とはいえ、ある意味奇抜なものでないと爆発的な「一次創作」にはなりえないので、そういう一次創作は奇抜なものですが。
で、無名な作者はそれに続く二次創作を書き上げるしかないわけですが。
読者側から見て、「これはあれの代替になりうる」って判断ができないわけなんですよね。
何しろレギュレーションのない自由な世界ですから。
だから、ファンタジーのラノベを書いても、その作品や作者が無名である以上、まず誰も手に取って購入を検討しよう、というどこかからのリンクがないわけです。
その小説の内容があらすじだけでは全く分からないので。
「この小説の世界観はこんな感じで、大体こんな感じで進んでいきます。ストレス耐性のない人でも安心です」とか書けないじゃいですか、いちいち。
そんな、何が書いてあるか分からないものは誰も買えません。
最悪学園もの時代ならイラストで買うってこともありましたが、ファンタジーになると、同じようなあらすじでも、展開が拒絶したくなるような場合もあります。
で、じゃあ、読者はどこでそれを探しているのかと言いますと、それが小説家になろう、なわけです。
で、そうなるとちょっと変わるわけです。
なろうと商業の違いは以下の通り。
・一説単位に公開されるため、いつでもやめることが出来る
・無料だから嫌な展開になったらいつでも切れるし、それで一切コストがかからない
・一説単位の公開で、それで満足させるため、そこに小さな起承転結が必要になる
・大きな起承転結は求められず、ただ、延々と小さな起承転結が飽きられないように続けばいい。
これに、最初に言った「キャラを気に入ってくれればいい」がプラスされる。
そうなるとどうなるのかと言いますと、きらら的小説が受けるわけです。
まんがタイムきららというのはコンテンツとして成立していて、おびただしい数のアニメ化に成功しています。
キャラは総じて可愛く、魅力的です。
が、ストーリーや構成だけを厳正に評価するとそれでも面白い作品は非常に限られます。
つまり、キャラが可愛い、その可愛いキャラがあれこれする、ストレスは一切ない、険悪なムードさえない、そういう四コマで、大きな起承転結がないから、それこそ永遠に続けられます。
そういう作品がなろうに求められているということです。
で、それって書籍では相性が悪いじゃないですか。
本の一冊で起承転結があって、最小限に留めたとしても多少途中でストレスは感じるだろうし、キャラが可愛いから全てOK、というわけにもいきません。
とはいえ、そういうものが受けている以上、無視も出来ませんから、各レーベルは上位と交渉をするわけですが。
となると、ファンタジーが主流である以上、無名が有名になることは非常に難しくなってきました。
そもそも買ってもらえないので。
二次創作便乗作戦が使えず、ネット上ではノンストレスの山谷のない作品が流行している現状では、誰もどうすることもできないわけです。
出版社としては現存の売れている作家を持ちあげて売れ続けてもらい、本を出しても赤字の新人作家を何とか黒字の中堅作家になってもらうために本を発行する。
そして、主力の作家がいないレーベルではなろうから人を連れてきてとりあえず利益を得て育てるか、印税の割合を下げるしかない。
財力のないところには厳しいですし、あるところでも独立採算が取れなければ外部から口を挟まれるので出来る限り赤字を減らす必要があるわけで。
まあ、とにかく、流行のジャンルが無名の新人に向かない状態では有名になるのは物凄く難しいわけです。
同人業界で言う「艦これが出る直前の状態」なわけです。
まあ、ただ、有名になれさえすれば既得権益の世界ですが。
91は頑張って書いてます。
基本的には、この世界に魔王が現れたので有望な若者の魂を送ってほしいと異世界の女神が頼んだら、日本の神様が年間三千人送りこ出来て、このままでは元の住民のための資源がなくなるからと、魔王を倒すか、そうでなくても住民に貢献しているかしなければ一年で消滅される、という制限付き転生の話ですが。
とりあえず一年の猶予がある主人公は、あとひと月で消えるヒロインを手伝う話になります。
「みなさーん! ちょっとお話を聞いてくださーい!」
町角の小さな広場のな場所。
ワインレッドの修道服を来た女性が声を張り上げている。
思ったより若く、二十歳くらいだろうか?
オレンジに近いブラウンの髪が頭からすっぽり被ったフードから見え隠れしている。
あれ、もしかして修道女(シスター)か?
いや、ここにいるってことは宣教師(プリーチャー)なのかな?
この世界の宣教師はまた、派手な色合いだな。
「神を信じて祈りましょう! 信仰の深い人は、素晴らしい世界に転生出来るのです!」
よく通りそうな声だが、言ってることは、前世の新興宗教並みに薄っぺらく胡散臭い。
だけど、修道服でも隠し切れないくらい彼女のスタイルがいいため、男性を中心に遠巻きに彼女を見守っている。
まあ、俺はいいや、スタイルならラメルースンがいるし。
確かに胸ならこの人はラメルースン以上にあるけど、まあ、確かに美人だけど、造形の美しさはラメルースンの方が上だし。
「来世でも、みなさん、明るく生きましょう! そのために今日からでも教会にきてお祈りをしましょう!」
ただ、彼女はとても笑顔が美しく、それはいつも無表情なだるい顔しか見せたことのないラメルースンとは違って魅力的だ。
「神はいつでもみなさんを見守ってくれています。皆さんがお祈りする姿もきちんと見てくれています。さあ、お祈りをしましょう! もちろん祈っていないのも見られていますよ?」
張り切るのは分かるけど、どうも空回りしているように見える。
みんなが好奇の視線で眺めてはいるけど、「教会に行きましょう」と言うと目をそらす。
この町には信仰心があまりないから仕方がないんだけど。
それは、多分神の奇跡よりも奇跡的で現実的な移民文化が身近にあるせいだろう。
あと、移民に接して、神であるリダーさんがどんな人となりか知っているのかもしれない。
可愛いコンビニ店員クラスだからなあ。
「さあ、みなさん!」
周囲の反応を目の当たりにしながらも、必死にそう叫ぶ彼女に手を差し伸べてしまいたくなるけど、俺も別に信仰心はないからなあ、少なくともあのリダーさんには。
だけど、そのお姉さんはまだ私には切り札がある、とばかりににやりと笑う。
「……私は、最近この町に赴任して来たのですが、この町にはある噂があるようです」
噂?
その一言に、俺もだけど、周囲の町民も少しは興味をそそられたようだ。
「この町にはどうやら、女神オヴォ・リダー様が頻繁に降り立っておられるようです! おそらくこの町の信仰心が薄いことを心配してのことだと思われます!」
恐怖心を煽るような口調は、だが、この町の人にはあまり通用しないようだ。
もっと純朴で信仰心の深い地域の住民なら慌ててお祈りをするところだけど、何しろこの町は女神がネタバレしてるからそうはいかない。
まあ、これ以上聞いてもしようがないか、そう言えば俺、アヤカを探すのを忘れてた、もう戻ってるかもしれないから、一旦帰って──。
「く、くにゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
そんな、宣教師の女性と、それを遠巻きに見る男性たちがいる小さな広場の真ん中を、フルフェイス全裸が駆け抜けて行った。
住民にとっても、おそらく見慣れた光景なのか、驚きもざわめきもない。
ただ、周囲に悟られないように男全員ガン見していたのは分かった。
「あれです! あれがオヴォ・リダー様なのです!」
まさに今、駆け抜けて行ったアヤカ・サクラタニ様を指さして、そう叫んだのは宣教師の女性。
「オヴォ・リダー様はとても恥ずかしがり屋で、顔をお隠しになられているようです!」
いや、恥ずかしがり屋だけど、本当の恥ずかしがり屋は全裸で町を走らないからな?
「……確かに。よく見かけたから、また移民の誰かだと思ってたが、冷静に考えたら、若い女の子が裸を見せて回るわけないよな?」
いや、それがいるんです。
「女神様なら、裸も普通だろうし、身体は見せても恥ずかしくないんだろう、顔は恥ずかしがり屋だから、隠してるんだろうけど」
何その頭隠しておっぱい隠さない女神像?
「そうか……あれは女神様だったのか……」
違います、ただの露出狂の女の子です、僧侶職だけど違うんです、悪い子じゃないですからそっとしておいてあげてください。
「そうです! 女神オヴォ・リダー様がこの町を案じて降臨されておられるのです!」
宣教師の声に、さっきより注目が集まってる。
……そうか、中世の宣教師って、こうやって自然現象とかその土地特有の現象で神を信じ込ませて来たんだな。
いや、あれを現象というならさっさとやめさせないと!
俺はアヤカの走っていった方向、診療所の方に戻る。
「あ、ショウジさん、お帰りなさい」
アヤカはもう服を着ていて、髪整えているところだった。
まだ息も整ってないし、頬や額から汗も流れてるけど、本人は、にこやかに微笑み、何ともない風を装ってた。
こっちが心配して探し回ってたのにさ、町ではアヤカの性癖のせいで一騒動巻き起こってるのにさ、何暢気に笑ってるんだよ。
さすがにちょっとイラッとくる。
でもさ、アヤカがすげえいい笑顔してるんだよ。
さっきまでストレスとプレッシャーで押しつぶされそうで表情も若干固まり気味だったアヤカが、何かを吹っ切ったように笑ってるんだよ。
そうなるともう俺は何も言えないだろ。
「? どうしました?」
汗を拭きながら微笑んで俺に訊くアヤカ。
「いや、もう、なんかいいや」
さすがにこうも頻繁だと、注目もされるだろうからさ、危険もあるんだよ。
みんなもう見てみぬふりしてくれてるけどさ、全員がそう優しいとは限らないから、一人くらい裸のアヤカを捕まえて兜を剥がそうとする奴もいるだろうし。
だからやめろって思ってたけど、これ辞めさせたらこの子、鬱で自殺しかねない気がする。
なんか別のストレス解消法を彼女が思いつくまではこのままさせておいた方がいいかもな。
さっきの宣教師のおかげで、なんか神扱いされるから、祈られることはあっても、捕まるってことはないよなあ。
でも、なんていうか、まあ、あれだ。
俺の中で、ちょっとやだな、って気持ちもあるんだよな。
俺はただのアヤカの友達なんだけどさ。
あの裸をみんなに見せるのは、何となく嫌だなあ、と思っただけ。
最終更新 2016/07/24 22:30:36
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