■過去日記
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95を書き直した。 [小説] えー、95を書いていたのですが。 ちょっと面白くなかったので書き直しました。 何でこうなったのかというと、プロットに忠実に書いたわけです。 プロットの流れと、ページ数に忠実に書いたら、面白くなかったわけです。 ですから、とりあえず、いろいろな制約を除いて、書きたいように書いてみました。 で、先週からの変化ですが。
「えーっと、あんたは死にました」 「……え?」 これまで聞いたことのない言葉、これまで聞いたことのない声に、コルシェは戸惑った。 「それで、これから私が──」 「ええ!? そこさらっと流します? ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」 まだ受け入れるとかそういうところまで頭が回っていないのに先に進もうとするので、慌てて止めるコルシェ。 「何よ? 私だって忙しいんですけど」 「あ、すみません……」 話をしている女性の機嫌が悪くなったので、とりあえず謝る。 コルシェはこれまで生きてきた十七年、牧歌的な農家で育ってきた。 だから、目の前のちょっと垢抜けた感じの話し方をする高飛車な女の人の相手などしたことがないので、多少持て余していた。 「んー、あんた、街道を歩いてたでしょ?」 女の人は、イラッとしながらも、さすがに説明不足過ぎたと思ったのか、説明を始めた。 「あ、はい、そうですね。エルメルの街に行こうと思ってまして」 「その時に、強盗に会ったわよね? そいつに殺されたのよ」 特に感情もなく、いつもの話題であるかのように、女の人は淡々と事実だけを述べる。 綺麗な人、というか、気の強そうだが、若干つり上がった目が大きいので幼く見え、だから可愛いとも言えるような女性だった。 「強盗……? あ! あいつか!」 コルシェは強盗、と聞いてもすぐに何も思いつかなかった。 だが、そう言えば強盗らしき奴に会ったのを思い出した。 それは死ぬ寸前まで、いや、死んでからもこうして言われるまで強盗であったと気づかないような者だった。 それは小柄な少女で、コルシェより頭一つ分くらい背が低い女の子が、ナイフ一本コルシェ向けて「お金を置いていくっす! 身ぐるみも置いていくっす!」とか言っていた。 コルシェは平和な田舎に住んでいたので、盗賊や強盗という存在は知っていたが、実際に会うことはなかった。 ましてやこんな女の子が強盗なわけがないと頭から思っていた。 だから、何かのイベントか勧誘かな、と思ってしまった。 ナイフを突きつけられても、笑って「お金は無理だけど、干し肉を持ってきてるから分けてあげようか?」と言おうとした。 言おうとしたのだけは、憶えている。 だが、その後、どうなっただろうか? 記憶がない。 彼の記憶はそこで途切れてしまったのだ。 強盗の前で荷物の中身を取り出そうとしてはいけない、荷物はそのまま投げ捨てて全て奪われるのが、生き延びる道なのだ。 彼は、それを知らなかった。 だから、その後、彼にとって信じられないことが起きた。 いきなり呼吸が出来なくった。 そしてそのまま何が起きたか分からないまま──。 その後は憶えていない。 記憶がないまま、今ここにいる。 「そうか……あれで殺されてたんだ……」 あの、自分より年下の女の子に殺されて、死んだのだ。 彼には、あんな子が人を殺すなどという感覚がまるで、なかった。 ちょっと若者同士が殴り合いのけんかをしただけで村中の噂になるような農村だった。 人を殺そうとする者など見たこともなく、噂には聞いていたが、コルシェはもっといかにもな悪を想像していたのだ。 そんな農村は珍しくもなく、この国を含むこの地域全体で、戦争やいざこざが起きたことが、少なくともコルシェが生まれてからはない。 平和な国々と、平和な国民たち。 けれども、世界全体が平和で、全員が安全に暮らしていける世の中でもない。 街には盗賊もいるし、街道には強盗もいる。 コルシェは運悪く、それに殺されただけだ。 「自分の境遇を理解した?」 「分かりましたけど……それなら、あなたは誰ですか?」 自分が死んだ、ということを受け入れなければならないと、徐々に納得している。 だが、そうなると目の前の、自分が死んだと告げているこの女性は誰なのだろうか? 「なんでそんなことを聞くのよ?」 「いや、俺が死んだって言うなら、何故あなたとは話が出来るんですか? 普通の人間とはもう話が出来ないんですよね?」 「そうね、あなたはもう、普通の人間とは話は出来ないわ。私のように特別な存在とだけ、話が──」 「いや、早く教えてくださいよ」 「言おうとしてるんじゃないの! 何で急かすのよ!」 「いや、多分どうでもいい前置きを言おうとしてたから、飛ばして欲しいなと思って」 「そういうのが大事なんじゃないの! 私の神性? そういうのを醸し出すために!」 そういうものはほっといてもにじみ出てくるんじゃなかなあ、とコルシェは思ったが、それはそれで話が長くなりそうなので言わなかった。 「すみません、俺、今何が起こってて、これから何が起こるのか、早く知りたいんです。だから、早く教えて欲しいんです」 「……まあ、それならしょうがないわね」 女性はやれやれ、という態度をする。 「で、誰なんですか?」 「私の正体は何と! ……って、今言うところじゃないの! なんで急かすのよ! 死んだのだからちょっとくらいのんびりしなさいよ!」 「分かりました、ごめんなさい。それで誰ですか?」 「聞いて驚きなさいよ? 私の子の見た目の美貌、あふれ出る知性、にじみ出てくる神性、そして──」 「早くしてくださいよ」 「うがぁぁぁぁっ!」 女性が飛びかかってきた。 「うわっ!?」 動きが遅かったので慌てて手首をつかむ。 「離しなさい! はーなーせーっ!」 コルシェはだんだんその細い手首を握っているとだんだん罪悪感が湧いてきて、離してしまうが、女性の方ももう攻撃の意志な内容だ。 「フレイヌ! 私は女神フレイヌよっ! 知ってるでしょ! 崇め祀りなさいよ!」 コルシェより少し背の低い女性がフレイヌを名乗りコルシェを見上げてにらむ、涙目で。 女神フレイヌ。 残念ながら、コルシェはその名前を知っていた。 「……あー」 そして、その女神が女神の癖に軽い理由も何となく分かった。 炎の女神フレイヌ。 それは誰もが知っている女神だ。 どちらかというと邪神という認識の方が強いだろう。 かつては魔王を生み出したとも言われている、人心を惑わせて戦いに駆り出す神とも言われている。 多くの教会では、彼女の誘いに打ち勝つ事こそが、人としての第一の試練だとも言われている。 「……何よ、その顔?」 「いえ? 元々こういう顔ですが」 だが、流石に本人を前にして、邪神とか打ち勝つとか、そんなこと言えないので誤魔化した。 「違ったでしょうが! さっきまではもっとこう、田舎育ちで幼さも残ってるけど、爽やかですっりとした整った顔の少年って感じだったじゃないの!」 「何でそう、細かいんですか! 恥ずかしいから人の顔面分析するのやめてくださいよ!」 「それが何なのよ!? 今はまるで胡散臭い人を見るような表情じゃないのよ!」 「胡散臭い人を見てるからに決まってるだろうが!」 「言った! 言ったわね女神に! 天罰よ! ここでは使えないけど天罰下すわよ!」 半泣きで殴りかかってきたので、また手首を掴んで止める。 その動きは喧嘩すらしたことがない女の子のそれと同じだったので、手首を掴むくらいわけないし、恐らく殴られても大して痛くはないだろう。 女神は置いておいて、そんなか弱い女の子にひどいことを言ってしまったと反省するコルシェ。 「あー……すみませんでした、言い過ぎました」 「あんたも私のこと邪神だと思ってんでしょうが!」 「そんなことないです! どちらかというと素晴らしい神だと尊敬しています!」 可愛い顔に涙目で詰め寄られ、コルシェは目を反らす。 「目を逸らしたっ! やっぱり嘘かっ!」 「本当です! あまりの神々しさに目を逸らしてしまいました!」 「嘘つけっ!」 「嘘でした!」 「うがぁぁぁっ!」 また、殴りかかられる。 「みんなそう! 何なのよあんた達!? あれだけ火の世話になっといて! 私に文句があるなら、今後料理で火を使うなっ!」 「ごめんなさい! すみません!」 邪神とは言え女神が怒っている以上、下手に出るしかないだろう。 「まったく、これだから原住民(ナチュラル)は! 異世界転生者(フォーギナー)は本当、素直で、私をすぐに女神って認めたのに!」 「あの、異世界転生者って何ですか?」 「面倒くさいわねえ、この世界じゃない世界の死人の魂をこの世界に連れて来ることよ」 「この世界じゃない世界の死人の魂……?」 コルシェの知っている世界の次元を超えているため、意味が分からなかった。 「あの子達は本当、変な知識はあったけど、この世界のことは知らなかったから素直だったのよ、ここにいるときはね」 ここにいるときは、という言い方に少し棘があったが、わざわざ聞き返す気もない。 「とにかく! この私が! 死んだあんたを生き返らせてやるって言ってんのよ! ありがたく思いなさい!」 「え……本当に?」 自分を生き返らせてくれる。 「本当よ!」 「も、もしそれが本当なら、今後ずっとフレイヌ様を信仰してもいいです!」 「それはいい心がけね」 「確かにそれは、いばらの道ですけど……。多分、どの町に行っても大きな集団からは弾かれるでしょうけど……迫害もされるでしょうけど。たとえ不幸になっても、俺はフレイヌ様を──」 「何で私の信者になると不幸になる前提なのよ!」 「いや、それはだってそうじゃないですか!」 「ならない! 今も私の信者は街の隅っこで幸せに生きているわ!」 「分かりました、生き返らせてくれるならそれくらい受け入れますよってことですから」 「ただし、生き返らせるのには条件があるわ。これを呑んでくれるなら生き返らせてあげる」 「いや、フレイヌ教の信者になれってことだけでも物凄い無茶で理不尽なんですけどその上まだ条件があるんですか?」 「全人類が私の信者になることは当たり前の事じゃない。だからそれは数えないわ」 コルシェは心の中で、よし、信者になるのはやめよう、と思った。 「……なんですか、その条件って?」 「あなたに、一つだけ女神の恩恵(チート)と呼ばれる能力をあげるわ。それを活用して、世界征服をしなさい!」 ばん、と突拍子もないことを言われ、コルシェの頭はすぐにそれを消化できなかった。 「……は?」 「だから! 世界征服しろって言ってんのよ!」 「いや、聞こえましたけど……何でですか?」 まさか、女神に世界征服しろと言われるとは思わなかったので、聞き返した。 この女神が魔王を作ったって噂は本当だったのだろうか? 「だって、平和だったら誰も私を敬わないじゃん!」 女神フレイヌは、仮にも一応女神のフレイヌは、とても軽い口調で、とても自己中心的な理由を吐いた。
最終更新 2016/12/12 0:23:44
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次につなげよう。 [小説] さて、GAへの応募も終わり、同人誌も入稿まで終わりました。 後は次の作品を書きつつ、プロットを書いていくことにしましょう。 プロットはいくつかネタはあるのですが、一つ一つ粛々と作成していきましょう。 プロットの書き方はまた変えました。 脚本術を読んだり、プロの知り合いに聞いたりした構成方法からの書き方にまた大幅変更しました。 とはいえ、キャラシートに関してはほぼ積み重ねになっています。 ぶっちゃけいらない項目もあるかも知れませんが、それも一応記載しておきます。 すっきりしたのはストーリーラインの方です。 多分この作り方は間違えていないと思います。 後はそれを文章化出来る能力があるかどうかだけですな。
それで書いている方ですが。 今書いているのは95で、これは異世界転生を禁止された女神が同世界で盗賊に殺された若者にチートを与えて世界征服させる話です。
「えーっと、あんたは死んだんだけど、これから──」 「え? ちょ、ちょっと待って?」 いきなり軽いノリでそんなことを言われ、慌てて制止するコルシェ。 人の生き死にをそう簡単に口にしてもいいはずがない。 「何よ? 私だって忙しいんですけど」 「あ、すみません……」 目の前の女の人がご機嫌斜めになったので取り合えず謝った。 コルシェは牧歌的な農家で生まれ、農村で育ってきた、今年十七になる若者で、こんな垢抜けた感じの女の人にこれまで出会ったこともなく、高飛車な態度を取られると対処に困るのだ。 「あんた、街道を歩いてたでしょ?」 女の人は、イラッとしながらも、さすがに説明不足過ぎたと思ったのか、説明を始めた。 「はい」 「その時に、強盗に会ったわよね? そいつに殺されたのよ」 特に感情もなく、いつもの話題であるかのように、女の人は淡々と事実だけを述べる。 綺麗な人、というか、気の強そうな若干吊目が大きいので幼く見え、可愛いとも言える人だった。 「強盗……あ! あいつか!」 コルシェは強盗、と聞いてもすぐに何も思いつかなかったが、そう言えば強盗らしき者に会った覚えはあった。 小柄な女の子で、コルシェより頭一つ分くらい背が低い女の子が、ナイフ一本かざして「お金を置いていくっす! 身ぐるみも置いていくっす!」とか言っていた。 コルシェは農業しか生計がない、平和で牧歌的な田舎地域の生まれだったので、何かの行事(イベント)かと思って、笑って「お金は無理だけど、干し肉を持ってきてるから分けてあげようか?」と言おうとした。 言おうとしたのだけは、憶えている。 あれ? その後どうなっただろう? 覚えていない。 いや、何か信じられないことが起きた覚えがある。 いきなり呼吸が出来なくなって、そのまま──。 覚えてない。 その続きを何も覚えてはいなかった。 「そうか……あれで殺されてたんだ……」 あの、自分より年下の女の子に殺されて、死んだのだ。 彼の出身は喧嘩ですら村中の噂になるほど平和な農村であり、この地域全体も戦争の陰すらない、穏やかで平和な時代が長く続いている。 けれども、世界全体が平和で、全員が安全に暮らしていける世の中でもない。 街には盗賊もいるし、街道には強盗もいる。 コルシェは運悪く、それに殺されただけだ。 「自分の境遇を理解した?」 「分かりましたけど……それなら、あなたは誰ですか?」 自分の死んだ、と言う存在。 死んだはずの自分と話が出来る存在。 そうなると、普通の人間というわけではないだろう。 そう思うのだが、何だろう、この女の人には、「そういう存在」のような威厳というか重厚さが感じられなかった。 一言で言えば軽かった。 ただ、都会の垢抜けた綺麗な女の人、という感じにしか思えなかった。 「私は女神よ? ほら、炎の女神フレイヌ。知ってるでしょ?」 ちょっと威張り気味に、女神と名乗る女性が答える。 その、私有名人だから当然知ってるわよね? という態度にはイラッと来る。 だが、残念ながら、コルシェはその名前を知っていた。 「……あー」 そして、その女神が女神の癖に軽い理由も何となく分かった。 炎の女神フレイヌ。 それは誰もが知っている女神だ。 どちらかというと邪神という認識の方が強いだろう。 かつては魔王を生み出したとも言われている、人心を惑わせて戦いに駆り出す神とも言われている。 多くの教会では、彼女の誘いに打ち勝つ事こそが、人としての第一の試練だとも言われている。 「……何よ、その顔?」 「いえ? 元々こういう顔ですが」 だが、流石に本人を前にして、邪神とか打ち勝つとか、そんなこと言えないので誤魔化した。 「そんなわけないでしょうがっ! あんたも私のこと邪神だと思ってんでしょうが!」 「そんなことないです! どちらかというと素晴らしい神だと尊敬しています!」 綺麗な顔に詰め寄られ、女の子に免疫のないコルシェは目を反らす。 「やっぱり嘘かっ!」 「本当です! あまりの神々しさに目を逸らしてしまいました!」 「嘘つけっ!」 胸倉を捕まれる。 「みんなそう! 何なのよあんた達!? あれだけ火の世話になっといて! 私に文句があるなら、料理で火を使うなっ!」 「ごめんなさい! すみません!」 邪神とは言え女神が怒っている以上、下手に出るしかないだろう。 「まったく、これだから原住民(ナチュラル)は! 異世界転生者(フォーギナー)は本当、素直で、私をすぐに女神って認めたのに!」 「あの、異世界転生者って何ですか?」 「面倒くさいわねえ、この世界じゃない世界の死人の魂をこの世界に連れて来ることよ。あの子達は本当、変な知識はあったけど、この世界のことは知らなかったから素直だったのよ、ここにいるときはね」 ここにいるときは、という言い方に少し棘があったが、わざわざ聞き返す気もない。 「とにかく! 死んだあんたを生き返らせてやるって言ってんのよ! ありがたく思いなさい!」 「え……本当に?」 自分を生き返らせてくれる。 それが本当なら、たとえこの邪神呼ばわりされている女神でも今後の人生でずっと信仰してもいい。 それは確かに茨の道だ。 おそらくメジャーなコミュニティーには入れないほどの迫害を受けることだろう。 それでも、たとえ不幸になっても、自分は──。 「あんた、今物凄く失礼なことを考えてない?」 「考えてません。今後の人生で女神フレイヌ様を信仰しようと考えていました」 「そう、ならいいわ」 コルシェは間違ったことを言ってはいない。 「ただし、生き返らせるのには条件があるわ。これを呑んでくれるなら生き返らせてあげる」 「……なんですか、その条件って?」 「あなたに、一つだけ女神の恩恵(チート)と呼ばれる能力をあげるわ。それを活用して、世界征服をしなさい!」 ばん、と突拍子もないことを言われ、コルシェの頭はすぐにそれを消化できなかった。 「……は?」 「だから! 世界征服しろって言ってんのよ!」 「いや、聞こえましたけど……何でですか?」 まさか、女神に世界征服しろと言われるとは思わなかったので、聞き返した。 この女神が魔王を作ったって噂は本当だったのだろうか? 「だって、平和だったら誰も私を敬わないじゃん!」 女神フレイヌは、仮にも一応女神のフレイヌは、とても軽い口調で、とても自己中心的な理由を吐いた。
最終更新 2016/12/04 21:44:02
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コミケ本紹介。 [同人] さて、GA大賞には昨日応募が完了しました。 次は、同人の編集ですが、同時並行で色々やりますが。 冬の同人誌の詳細は以下の通りです。 ・タイトル:四人の彼女が俺を寝かせてくれない ・サイズ:B6 ・イラスト:神名あやる ・あらすじ 澤田俊陽は、仲のいいクラスメートの愛妻瑚麻に告白したところ承諾され、付き合うことになった。 翌日、彼女の父に拉致され、家に連れていかれた。 父は細胞の研究をしているのだが、娘が可愛いためバックアップを取ろうとして、クローンを三体作ってしまったが、ちょっとしたミスで、どれが本物か分からなくなった。 そして、全員がクローンに分かれるまでの同じ記憶を持っているため、全く判別がつかなくなった。 もし、誰が本物かを判別出来たら、交際を認めるが、期限以内に判別できなければ、細胞研究の粋を尽くして、俊陽を遺伝子的にも生まれたときから女の子だったように改造して、瑚麻の親友にしてやる、と言われた。 慌てて四人と会い探ろうとするが、四人とも元の瑚麻とは全く別人のようになっていた。 そう言えば付き合うと言った時、「私は俊陽くんに全てを晒していなかったけど、これからは自分を晒していくよ?」と言っていた。 もう誰が誰だか分からない四人を相手に俊陽は本物を見つけられるだろうか?
という話です。 まあ、簡単に言うと、性格の違う4人の彼女といちゃいちゃする話です。 髪型で分かれていますが
ポニーテール 子供っぽく元気で無邪気。 凄く甘えてくる。 ツインテール ツンデレ。我儘くらい言ってもいいわよね、彼女だし、と思ってる。 ストレート 若干エロい。俊陽のちんちんに興味津々。 おさげ 超内気。実は一番計算高い。
よろしければ買ってください。 二日目なのですが。
最終更新 2016/11/27 20:43:33
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小説構成の勉強と94。 [小説] さて、私は男性向けラノベレーベルなら全てのレーベルから評価シートをもらっています。 その内容は様々ですが、どうも私の傾向として
・オリジナリティがない ・ストーリー構成が弱い
というのがあるようです。 で、前はずっと得意を伸ばすことで欠点をカバーした方がいいと思ってそうやってきました。 それでデビューできた時代でしたから。 が、時代は変わりましたし、そもそも、作家になり、作家として生き抜くためには総合的にレベルが高い必要があります。 そんなわけで最近ハリウッド脚本術の本を買って勉強しています。 分かりやすく理解は出来たのですが、それを自分のプロットに移すことが難しいですが。 何でかというと、その本で例に出て来るハリウッド映画のほとんどを見てないので、例が飲み込めないわけです。 で、聞いた話ですと、映画「君の名は。」はそういう構成が日本の映画にしては非常にうまいと聞きました。 とはいえ、私は映画館に映画を見に行くというのは非常に非効率だと考えているのです。 映画館に行って、上映時間を待って、映画を見て帰る、という時間消費が大きいのでほぼいかないのですが。 で、小説を電子で買って読み始めたのが水曜日。 ただ、読んでて、これは小説では分かりにくいなあ、と思ったのでBDでたら買おうと思ったのですが、あれは映画館で見た方がいいと言われたので、木曜日の朝ですが。 で、私は毎週土曜日に近所のサイゼリヤ五店舗、日曜日に近所のガスト五店舗をローテーションで回っているのですが。 ちょうど今週の土曜日が、ツイッターでは「マイカル店」と呼んでますが、実際はイオンモール桑名店なわけです。 インターネットで調べたらちょうど同じ建物の四階が映画館でそこで16:40分から君の名は。が上映するようでした。 で、私は毎週16:30くらいまでサイゼリヤやガストで書いているので、最も効率の良い、ロスの少ないスケジュールで見られると思い、席を予約しました。 で、土曜日の執筆後に行ってみたわけです。 映画自体は素晴らしかったです。 まあネタバレもあるので深くは言えませんが、特に映像は本当に凄かったです。 主役格に走らせまくることで躍動感ありましたし、彗星が物凄く美しかった。 で、何より構成が物凄くうまかったです。 序盤に誰もが興味を惹くような内容で集中させておいて、そこからそれを崩して、喪失感を味わわせる。 そして、必死につなぎとめるために動くけど決定的な事で絶望する。 そこからの更に必死に追い求めて、つながる、という展開も素晴らしかったですし、個々の伏線が全て活きているところも凄かったです。 特にアイテムの使い方ですね。 記憶は消える、情報も消える、だけど、アイテムだけは消えないところから、つながる、というところとか、更にそれで名前が残ることを避けるためにあえて名前を書かさないところとか。 何より、情報の出し方が巧妙ですよね、映画内でも事前情報でも。
とりあえず、いろいろ勉強になりましたので、プロットの書き方が分かりました。 今のプロットの書き方も非効率なので変えようと思います。 おそらく今後のプロットはこれまでよりいいものになると思います。
それはそうと、 94は、初稿が上がりました。 今は推敲、の前に書き直しをしています。 ちょっと色々書き終えてから思うところがあって、書き直しが細かく必要だったわけです。 まあ、今月末までですし、何とか間に合いそうです。
それから、こいつらは神のいる場所、まあ天界みたいな場所に帰るのかと思ったが、何故か封印の中にあった家に帰り、これまでと同じように半月を過ごした。 まるでルミニスが起きるまでの時間が、残された猶予時間であるかのように、ただ、のんびり過ごした。 そして、女神たちと和解した後も、フレイナは、やっぱり俺の部屋に居座った。 「ソーヤ! アーシェに何度も頼んでお世辞を言って、やっと窯を作ってもらったのじゃ! これでパンが作れるのじゃ! あと麦粉と塩と酵母があれば出来るのじゃ!」 今日も騒がしく部屋に戻ってきた。 プライベート空間を求めて個室を頼んだ俺の望みは結局聞き入れてもらえなかったが、今となっては別に嫌でもない。 「お前も大変だな、後、麦粉と塩はともかく、酵母ってどうするんだ?」 「わらわには五十年かけて作り上げた秘伝の天然酵母があるのじゃ! それを使えばよい」 「それはどこにあるんだ?」 「もちろんわらわのパン屋に……ああぁぁぁぁぁっ! もうないのじゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」 絶望の表情のフレイナ。 「まあ、また一から作れ、な?」 「今すぐ食べさせたいのじゃ! せっかく窯を作ってもらったのじゃ!」 「どこかのパン屋で分けてもらえ」 「駄目なのじゃ! 酵母はパン屋の命なのじゃ! よその味を奪うわけにはいかん!」 じゃあ、無理じゃないか。 「諦めろ。またいつでも作ってくれていいんだからさ」 「……じゃが、わらわはもうすぐ正式に女神に戻るのじゃ。それに、おぬしは……おぬしは……」 フレイナはそれ以上何も言えなくなる。 そう、フレイナは女神としてこの世界を司ると言う仕事がある。 それはそこまで忙しくはないようだが(事実、リーフィーはあちこちで人間として演奏会とか言うのをやっているらしい)それでも、俺と同じ場所に住めるわけではない。 こいつは神が住む場所に帰るのだ。 そして俺は、村に戻るか、もしくは英雄として、どこかの国で貴族並みの待遇を受けるか、まあ、そんなところだろう。 俺の待遇は「人としての勇者、英雄」であり、フレイナ達「女神」とはそもそも格も住む世界も、そして、寿命も違う。 これは、俺が選択したことだ。 俺が、フレイナを女神に戻したいと思ってやったことだ。 だから、後悔はしていない。 ただ、少し、寂しいだけだ。 「そんな顔をすんなよ、別に俺は今日明日に死ぬわけじゃないさ。またいつか、作ってくれよ、な?」 俺は頭を二回ほどぽんぽん、と叩いてから部屋を出た。
「よお、ソー。フレイのパンは食べられそうかい?」 いつもリビングにいるアーシェがやっぱりリビングにいて、開口一番そう訊いて来た。 「酵母がないからすぐには無理そうだな。アーシェには悪いが、作ってもらった窯では作れそうにない」 「そうか。だろうな。だから私も渋っていたのだが、奴がどうしても言うからな」 アーシェは別に意地悪で窯を造らなかったわけじゃない。 ここにいるのはルミニスが復帰するまでの半月程度、いや、もうその半月の時間も尽きようとしている。 「貴様とは永遠に盟友でいられるものかと、どうしても考えてしまうが、貴様は人間だからな……」 アーシェの憂いげな表情。 「正直、寝るときも一緒にいられるフレイが羨ましく思えるときもある。だが……私はその先を考えてしまう」 その先、つまり、今日明日に訪れるかもしれない、永い別離。 女神であるアーシェでもそれを考え、恐れているのだ。 アーシェが俺を抱きしめる。 いつもならやめろという俺も、今日は言うつもりはない。 「ソー、私は貴様が好きだ。私だけではない、オーミィも、リーフィーも、もちろんフレイもみんな貴様が好きなのだ。だけど……貴様を好きになるという任務は、終わったのだ」 「そんなこと……」 そんな分かり切ったこと、言うなよ。 だから、俺はそれ以上何も言えず、しばらくただ、アーシェに抱きしめられていた。 「ごめんくださーい」 そんな俺たちの感情を知ってか知らずか、穏やかで暢気とすら思える声が玄関から響く。 ここは封印結界さえ破れれば、メガサズ国の郊外だ、人が来てもおかしくはない。 とうとう見つかったか、という気分だ。 メガサズの「魔王」が倒され、本物の魔王も倒された。 そして、それをこの辺りの住民は目の当たりにしていただろう。 「俺が出るよ」 俺はアーシェから離れ、玄関のドアを開ける。 勇者として、訪問者には最初に会う必要があるだろう。 「こんにちはー」 目の前にいるのは穏やかな微笑みを浮かべる、お姫様のような清楚な女性だった。 歳は女神たちの見た目と同じくらいの十代後半、輝く長い金髪は少しだけ波打っており、彼女の細やかな身動きでもその光の反射を変える。 「どちら様ですか?」 「あの子たちがお世話になっております、ルミニスと申します」 「…………あ」 とっさに言葉を返すことは出来なかった。 とうとう来たのは、そっちの方だ。 ルミニスが復帰したんだ。 ここにいる猶予期間はもう終わりなんだ。 「……いらっしゃい、ルミニス」 俺の背後から、アーシェが俺の代わりに挨拶をする。 「アーシェ! お久しぶりですね、お元気でしたか?」 ルミニスがアーシェを抱きしめる。 長身のアーシェの方が背が高いが、明らかにアーシェはまるで自分の母親に抱きしめられるかのように応じる。 「ああ、ルミニスこそ大変だったな。大丈夫かい?」 「私は大丈夫です。他の子たちはいますか?」 「ああ、今なら全員家にいる。リビングに呼ぼう。上がってくれ」 「はい、お邪魔します」 ルミニスはリビングに上がり、促されてソファに座る。 「ソーヤさん、あの子たちは恐らく大変ご迷惑をおかけしたかと思います。申し訳ありません」 深々と頭を下げる。 「ああ、いえ、フレイナを含めて仲良くやっていけました」 「そうですね、テネブラエをあなたが倒すなんて、かなり私の希望的な観測でしたから、驚きました。多分、これまでの勇者の家系で他の方より遙かに仲がよいと思います」 「そうですか、ありがとうございます」 最高神のルニミスに誉められると、嬉しい。 もう、その任務が終わり、仲良くする期間が終わったのだとしても。 「ソーヤさん、一つだけお願──」 「ルミママっ!」 ルミニスの言葉は、いきなり目の前に現れたリーフィーによって遮られた。 「リーフィー、お元気でしたか?」 「うんっ! すっごく元気! ルミママは? テネブラエに倒されたりしなかった?」 分かってて何聞いてんだこいつ。 「情けないことに倒されかけてしまいましたね」 ルミニスは上品な娘さんが照れるような仕草をする。 「ぷぷぷ〜、ルミママよっわーい! テネブラエにやられるなんてー!」 この世で最も強い、自分の想像主であるルミニスを小馬鹿するような大それたリーフィー。 お前自由奔放過ぎだ。 「そうですね、今回のことは私も油断しました。反省しています」 「しっかりしてくれよーもー☆」 自由奔放なリーフィーを優しく撫でてやるルミニス。 ああ、この人はこういう子を創ったんだ。 ってことは、フレイナが出て行ったのも、そういう子を創ったからなのか? 「ルミニス、お久しぶりです」 オミランと、その後ろに隠れるようにフレイナが来た。 「オミラン、お久しぶりです。それと、フレイナも」 「お、お久しぶりなのじゃ……あと、ごめんなさいなのじゃ……」 最後は消え入りそうな声だったが、あのフレイナが自分から謝った。 「私の方こそ、辛い思いをさせてしまいましたね? ごめんなさい」 そう言って、ルミニスはフレイナをぎゅっと抱きしめる。 「そんなこと……な、い……うわーん!」 ルニミスに抱きしめられたフレイナは、その胸で泣き出した。 こうして百五十年に及ぶ女神の家出は終わった。
最終更新 2016/11/13 21:07:44
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コミケとタブレットと94。 [小説] さて、コミケですが、当選しました。 ぶっちゃけこの週末に発表とか思ってなくって。 感覚的に二週間くらい前に夏休み終わったくらいだったので。 で、その間なろうの連載書いたり賞向けの小説書いたりしていたらこの季節になっていたわけで。 今、何も考えていませんが、とりあえず宿の予約だけはしました。 これからいろいろ考えます、早急に。
で、タブレット環境ですが、とりあえずタブレットで動画を見るために便利なアベマのプレミアムに入りました。 これでいつでも好きなアニメが見れます。 特に五分枠十分枠のアニメを大量にオンデマンドしてちょっとした空きに見ながら作業してます。 となると、外で見るときの対応をしようと思い。
・イヤホンを買いました 外で見るときのためのイヤホンです。 当然見た目重視です。 私はSHUREイヤホンをSHUREがけするので、SHUREしかないなと思ってましたが、そこまで高くなくていいので、探したらSHUREがけ出来る安いイヤホンがありました。 見た目が良かったのでそれにしました。
・ギガ倍プラン 世の中、スーパーギガプランが流行していますが、ワイモバイルでも、500円でギガを倍にするプランが出来たので契約しました、来月から。 私は片言の人の契約で3GBだったのですが、これが6GBになります。 でも、よく考えたら、私が楽天モバイルと契約したのは、いつもワイモバの通信量が5GBを超えて、500MBで500円課金していたので、あれ、この値段なら別で楽天モバイル契約した方が安くね? と思ったからですが。 あれ? 6GBあったらそれでよくね? ってなりましたが、あれ、動画見るから増やすんだっけ、ってなった。 ただ、主に動画を見るのは、タブレットの方で、タブレットは5GB契約で、毎月5GBまで繰り越し出来て、毎月ほぼ繰り越されます。 本当にこんなにいるのかなと。 まあ、動画見るなら11GBくらいいるかな。
とりあえず、金が金を呼んだ感じですね。
さて、91はとっくに完成して90とともにHJに送りました。 次は94になります。 ちなみに92はノクターン連載、93はなろう連載です。 94は簡単に言いますと、癖の強い女神三人を連れて魔王をフルボッコにした後、封印ししようとして魔王、という元女神に命乞いされたのでどうしようかという話になった時、いきなり封印が始まり、逃げる間もなく全員が封印されてしまった、という話です。 封印は本人以外が解除することが難しく、封印した本人を見つけ出さないと少なくとも寿命がある人間の勇者と、空間内にいてもいじめられるだけの魔王は外に出たいと色々封印した女神を探る話です。
「みんなーっ! 今日はリーフィーのために集まってくれてありがとー!」 おそらくアーシェにに作ってもらったであろう舞台に立つリーフィー。 そして、大勢の観客。 そして、そこの混じらされている俺とフレイナ。 俺ら以外の観客たちはみんな俺よりは頭一つ分背が低く、まあ、女の子としては一般的な身長のフレイラよりも更に一回り小さい集団。 全員が銀髪ツインテールという不思議な観客たち。 うん、これ、全員リーフィーの残像だ。 こいつ呆れるほどの高速を利用して、自分でアイドルの観客までやりやがってる。 「今日の一曲目は、みんな大好きな、あの曲だよ? じゃ、行くよー!?」 「……のう、これ、聞かねばならんのか?」 隣の退屈そうなフレイラに聞かれる。 「まあ、聞いた方があいつの機嫌もよくなるし話しやすくなるだろ? それに」 「……それに?」 「……いや、とにかく聞いてからにしよう」 俺とフレイラは、封印を解くべく誰が封印したのかを一人一人探っていこうとして、とりあえず一番可能性が低く、また、本人なら一番説得しやすそうなリーフィーから攻めることにした。 リーフィーは何を考えているかさっぱり分からないところはあるが、その行動原理は意外と単純だからな。 まあ、そのためにはちゃんとリーフィーの舞台を見てあげる必要があるだろう。 何より、俺は──。 リーフィーの歌が始まる。 そして、手足を伸ばし、跳ねるように踊る。 時には陽気(コミカリー)に。 時には憂い気(ブルーディー)に。 時には妖艶(セクシー)に。 あのやかましく、ガキ臭いリーフィーが、歌と踊りで、無限の魅力を表現する。 俺は、この、時にはイライラする、何考えてるのか分からない、自由奔放なクソガキの歌と踊りが、大好きなのだ。 旅を始めたばかりのちょっとしたおふざけの場で見たリーフィーの歌と踊りに、悔しいが涙が出てしまった。 それ以来リーフィーには熱狂的なファン扱いされている。 流石に、熱狂的ファンと言われると否定したくはなるが、じっと見ていたくなるような、聴いていたくなるような、そんなこんな神の歌声と神の舞い。 俺は、これが、好きだ。 周囲の熱狂するリーフィーたちとは違い、ただ静かに見ている。 妖艶な魅力すら感じるこのリーフィーの踊りを目で追っていた。 恐らく何千年も見せられてとっくに飽きてるフレイナが、退屈そうにため息を吐く。 「ありがとー! みんな大好きー!」 数曲歌って飽きたのか、終わりっぽい雰囲気になる。 俺は残念な気持ちとやっと話が出来るという気持ちが葛藤しているが、隣のフレイナはやっと終わった、というだけだ。 「今日はリーフィーのお友達が来てくれたよー☆」 「……ふぇ?」 「次の曲は、まおーが歌ってくれるよー? どーぞー!」 いきなり振られ、大観衆(全員リーフィー)の中、歌わざるを得ない状況にさせられたフレイナ。 まあ、舞台って退屈そうに見てる人ってのは参加させられたりするもんだが、この女神さまはそこまで再現するのか。 「わらわのゆーめはー、わらわのしあわーせー」 たどたどしく歌い出したフレイナは、元とはいえ女神とは思えないほど自己中な夢の歌詞だった。 『ブー! ブー! ブー!』 下手だからなのか、歌詞が悪かったのか、リーフィーたちが一斉にブーイングを始めた。 「な、何なのじゃこれはぁぁぁぁぁっ!」 半泣きと号泣の間のような、まあ普通の泣きに入ったフレイナ。 まあ、アーシェやオミランのいじめに比べたら軽いと思うべきなのか? 「やっはろー☆ リーフィーのギグ、見てくれた?」 「うん、まあ見たけど……」 ギグて。 「どうしてわらわを参加させたのじゃぁぁぁぁぁ!」 結構傷ついたのか、まだ泣いているフレイラが責める。 「だってー! まおーつまらなそうだったしー。リーフィーのギグでつまらない子は一人もいちゃ駄目だからねー☆」 そう言ってフレイラに抱き着くリーフィー。 「離すのじゃ! 汗くさいのじゃ!」 リーフィーがフレイナに抱き着き、フレイナが怒るが、振り払う様子はない。 ま、フレイナもこれからリーフィーを説得するってことが分かってるんだろうな。 せっかくの上機嫌を損ねないように、自然に話を持っていくように──。 「ところでリーフィー、わらわたちは一刻も早くここを出たいのじゃが、協力してくれんかの?」 直球! しかも剛速球! 「えー、でも、アーシェかおっちんちんに怒られるしー」 「そこを何とかお願いしたいのじゃ!」 「リーフィー、ドブの臭いの料理出されたくないしー」 「あれはわらわだけじゃ! わらわだけいじめられているのじゃ!」 思い出したのか半泣きになるフレイナ。 「えーでもーリーフィーにメリットないしー☆」 「おーねーがーいーすーるーのーじゃー!」 駄々をこねるように頼むフレイラ。 あ、これは駄目だな。 「なあ、リーフィー」 だから、俺が代わることにした。 「おー、ソーシェん! リーフィーも愛してるよー☆」 そう言って、今度は俺に抱き着いて俺の頬に頬をくっつける。 「離れろって! 話が出来ないだろ!」 確かに汗くさいけど、少なくとも俺にはいやな匂いじゃないからまた困る。 何だろう、女の子の匂いを少し強くしただけだからな。 更に俺に密着して、俺がリーフィーを好きなことは前提に「私も」愛してる、とか言い出される。 いや、大切な仲間だし可愛い子だし、好きなんだけどさ、愛まで言われると困るというか。 一万何年生きてるかもしれないけど、俺からすると年下の女の子でしかないから、一人の女の子としてそう思ってしまうからな。 「で、何、なに〜?」 顔のすぐそばで言われるのは、困るが、このまま話を続けるしかなさそうだ。 「あのな、封印解かないと、一万年間、そのファンとやらに会えなくなるんだぞ? ていうか、人間なら全員死んでるからな?」 「ほえ?」 よく分かってないのか、リーフィーは首を三十度くらい傾ける。 「だからさ、お前、今、ファンと隔離されてるんだぞ? 後一万年、ファンと会えないんだぞ?」 「ソーシェんがいるのに?」 「あー、分かった、俺はファンでいい。だが、俺以外のファンに会えなくなるんだぞ?」 「んー……」 リーフィーは俺の頬にほおずりしたり、鼻にキスしたりやりたい放題やってるが、考えてはいるようだ。 「あーーーーっ!」 「うるさいって……!」 リーフィーのよく通る声が耳元で叫ぶから俺は結構脳に直接振動したような気になる。 「駄目じゃん、駄目じゃん! そんなの嫌だよ! リーフィーはみんなのリーフィーなんだから!」 「だか、ら、落ち、着け、って!」 俺はなんだか抱きしめられて振り回されてる。 結構高速で! 「封印の外に出たいっ! 出して?」 「いや、だからさ、封印した奴を探さないと──」 「まおーだ! まおーに決まってる! まおー出して!」 「違うのじゃ! わらわも閉じ込められているのじゃ!」 「うっそだー! まおーは信じられない! 理由はまおーだから!」 「魔王じゃないのじゃぁぁぁぁっ!」 またなんかフレイナが遊ばれてる。 泣きながらどこかに走って行ってしまった。 「とにかくさ、リーフィーが封印してないんだよな?」 「リーフィーがそんなことするわけないじゃん! もー! そんな口はふさいじゃむむー!」 「むぐぅぅぅぅっ!?」 リーフィーは何の前触れもなく、俺にキスしやがった! しかも俺の口内で下を暴れさせてやがるし。 なんか、妙に柑橘系の味がするし……! 「ひゃっはー☆ キスしちゃったー! やっひー♪」 そして何の余韻も残さず、そのまままた踊り跳ねながらどこかに行ってしまった。 「……何なんだよ、一体」 俺は口をなぞりながらつぶやく。
最終更新 2016/10/29 23:41:47
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